すき焼きの肉にシラタキを触れないように、
という知識はご存知のことと思いますが、
ではなぜ?
シラタキの原料はコンニャクイモですが
こんにゃくを作る過程で使われるのが石灰です。
石灰にはカルシウムが含まれています。
肉のタンパク質は加熱すると凝固しますが、
カルシウムに出合うと凝固が早まり、
それも一層強く凝固してしまいます。
さらに、肉に含まれる
「ミオグロビン」という色素は、
加熱されると「メトミオグロビン」
という褐色に変化します。
肉を炒めたり煮たりしたときの褐色ですが、
カルシウムに出合うとどす黒い色になってしまいます。
凝固だけでなく、色も美味しさを失うので、
すき焼きのシラタキは、
肉に近づけない、触れさせないが、
絶対のポイントです。
と、ここまでが鉄板の常識でしたが、
次のような情報が出ています。
有力な参考情報としてご紹介します。
「しらたきがすき焼きの肉を硬くする」
は誤解――こんにゃく協会、実験で確認
「『しらたき(糸こんにゃく)
がすき焼きの肉を硬くする』は誤解だった」
――こんにゃく生産者などで構成する
日本こんにゃく協会が、
次のような実験結果を発表した。
しらたきがあってもなくても
肉の硬さは変わらないことを
実験で確かめたという。
しらたきなどこんにゃくの凝固剤には
水酸化カルシウムなどの
カルシウム成分が含まれており、
そのアルカリ性が
肉を硬くすると考えられている。
だが、しらたきに含まれる
カルシウム成分は100g中75mg
(日本食品標準成分表より)で、
焼き豆腐(150mg/100g)の半分程度という。
同協会は、
しらたきが肉の硬さに及ぼす影響について、
外部の検査機関に実験を依頼。
(1)しらたき無し、
(2)水洗いしたしらたき入り、
(3)下ゆでして2~3分水洗いしたしらたき入り
――の3パターンの割り下を用意した。
沸騰した割り下に、
霜降りの多い国産和牛肩ロース肉と、
霜降りの少ない米国産牛肩ロース肉を投入。
それぞれ、
30秒~1分加熱したものと
3分加熱したものを用意し、
モニター5人に噛んでもらって
硬さを比較した。
30秒~1分加熱したものは、
しらたきの有無に関わらず、
和牛は非常に柔らかく、
米国産牛も柔らかいままだった。
3分加熱したものは、
しらたきの有無にかかわらず
和牛は非常に柔らかい状態を保っており、
米国産牛はしらたきがあってもなくても
硬くなった。
このため協会は、
「しらたきが肉を硬くする」は
「風評」であり「誤解」だと断言。
食感が良くローカロリーなしらたきは、
すきやきのカロリー過剰摂取を
抑える役割もあり、
栄養バランス的にも
理にかなっているとし、
実験結果を踏まえて
「しらたきを使用した
本来のすき焼きのおいしさを
味わっていただく方が
増えることを期待する」
としている。
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